先日、あるサイトのリニューアルについて相談を受けました。
こちらでもある程度方向性を考えていたのですが、後日クライアントから、
ChatGPTでリニューアル案を聞いてみました。
共有させていただきます。
という連絡が届きました。
送られてきた内容を見ると、想像していた以上にしっかりしています。
サイトの方向性。
必要なページ。
問い合わせにつなげる導線。
Google検索やAI検索を意識したページ構成。
専門性の見せ方。
Q&Aや事例の増やし方。
かなり具体的なところまで整理されていました。
「ここまで出してくれるのか」と、正直ちょっと驚きました。
AIに相談してから制作側へ持ってくる
今までは、
「こんなサイトにしたい」
という要望を聞いて、制作側が整理しながら形にしていくことが一般的だったと思います。
ところが今回は、クライアント自身がChatGPTに相談して、ある程度考えを整理した状態でこちらへ共有してくれました。
AIを使って要望をまとめ、その内容を制作側と相談する。
これからは、こういう流れも普通になっていくのかもしれません。
今回送っていただいた資料も、単に見た目をきれいにするリニューアル案ではありませんでした。
- Google検索やAI検索で見つけられやすくするために、ユーザーの困りごとごとにページを分ける。
- Q&Aを増やす。
- 専門家情報を明確にする。
- 実際の事例を継続して掲載する。
といったところまで提案されていました。
中でも印象に残ったのが、
実際の事例や経験など、その会社にしか持てない一次情報をサイトの中心にする
という考え方です。
AI検索への対応をAIに相談した結果、「AI向けの特別な文章を書く」という話ではなく、その会社にしか持てない実体験や事例を増やすことを提案してきたのは面白いと思いました。
ガワだけ立派でも意味がない
ただ、ここで少し考えました。
AIに相談すれば、かなり立派なサイト構成を作ることができます。
今回の案をもとにデザインを整えて、必要なページを作れば、見た目としてはかなり完成度の高いサイトになると思います。
でも、そこで終わってしまうと意味がありません。
今回の資料でも、実際の事例を写真付きで継続的に掲載し、サイトの中心的なコンテンツとして増やしていくことが提案されていました。
さらに、事例には、
地域。
症状。
原因。
調査内容。
施工方法。
写真。
施工後の結果。
担当者のコメント。
などを蓄積していくことまで想定されています。
つまり、リニューアルした瞬間が完成ではありません。
むしろ、そこから、
誰が情報を集めるのか。
誰が記事を書くのか。
誰が写真を整理するのか。
誰が更新を続けるのか。
という運用が始まります。
どれだけ立派な器を作っても、中身が増えなければ時間とともに古くなっていきます。
長期間更新されていなければ、サイトを訪問したお客様に、
「この会社は今も対応しているのかな?」
という余計な心配を与える可能性もあります。
AI検索を意識するのであれば、なおさら一次情報を継続して増やす必要があります。
今回のリニューアルでは、サイトをどう作るかだけではなく、
リニューアル後にどう育てていくのか
までクライアントと話しておく必要があると思いました。
AIが出した案が、その会社に合うとは限らない
AIの提案を見ていると、
「これも必要」
「あれもあった方がいい」
と、どんどんサイトが立派になっていきます。
それ自体は悪いことではありません。
ただ、実際に続けられるかは別です。
例えば、
月に何件の事例を掲載できるのか。
写真は毎回残っているのか。
現場担当者から情報を集められるのか。
Q&Aを誰が更新するのか。
問い合わせ内容をコンテンツ化する仕組みを作れるのか。
こうした部分まで考えないと、
作ったものの更新できないページ
が増えてしまう可能性があります。
AIは理想的なサイト構成をかなり早く考えてくれます。
でも、その会社の人員や仕事量、運用体制まで含めて「本当に続けられるのか」を考える必要があります。
場合によっては、AIが提案した10個の施策を全部やるより、
「まずこの3つを続けよう」
と絞る方が合っているかもしれません。
サイトは作ることより、作った後に続けることの方が難しい場合もあります。
「AIすごい」で終わらせない
今回、クライアントとのやり取りの中でも、
「AIがここまで出してくれるなんて、すごい時代になっていますね」
という話になりました。
本当にそう思います。
以前なら、専門家へ相談したり、何度か打ち合わせを重ねたりしないと出てこなかったような案が、AIに質問することでかなり短時間で出てきます。
年齢や職種に関係なく、自分でAIを使って考えを整理できるようになったことも大きな変化だと思います。
ただ、
AIがすごい。
だから、この案でいこう。
で終わるのは危ないとも感じました。
AIが出した内容が正しいか。
その会社に合っているか。
今やるべきことなのか。
継続できるのか。
費用をかけるだけの意味があるのか。
そこは人が判断する必要があります。
AIは、考える材料を出してくれるところまではものすごく強い。
でも、
その答えを採用していいかどうか
まで自動的に決めてくれるわけではありません。
最終的には、経営者自身が「なぜこれをやるのか」を理解し、その結果にも責任を持つ必要があります。
AIが作った立派な企画書をそのまま実行するだけでは、求めている成果には近づかないと思います。
制作する側の仕事も変わっていくのかもしれない
今回のやり取りを見て、制作側の役割も少し変わっていくのかもしれないと思いました。
これまでは、
「どんなサイトを作ればいいですか?」
と聞かれて、一から案を出すことも多かったと思います。
これからは、
「AIに相談したら、こんな案が出ました」
という状態から仕事が始まることが増えるかもしれません。
そうなると制作側に求められるのは、案を出すことだけではなく、
どれを採用するのか。
どれを削るのか。
どの順番でやるのか。
実際に運用できる形にどう落とし込むのか。
を考えることになりそうです。
AIが企画案を作れるようになったから制作側の仕事がなくなる、というより、
AIが出した案を現実に合わせて調整する仕事が増える
という感覚の方が近い気がします。
立派な案を作ることより、
「この会社なら、ここまでなら続けられる」
と判断して形にすることの価値が、今まで以上に大きくなるのかもしれません。
リニューアルの完成は公開日ではない
今回の相談では、具体的なサイト内容についてはこの記事では触れません。
クライアントから相談いただいた内容を、そのままブログに書くつもりもありません。
ただ、今回のやり取りを通して自分自身が感じたことは残しておきたいと思いました。
AIを使えば、サイトの構成案も、コンテンツ案も、かなり具体的なところまで考えられるようになっています。
でも、最終的にサイトの価値を作るのは、
実際のお客様から届いた相談。
現場で経験したこと。
うまくいったこと。
失敗したこと。
そこで得た写真やデータ。
担当者自身の考え。
そういった、その会社にしか持てない情報です。
きれいなサイトを作ることも大切です。
ただ、それ以上に、
そのサイトへ何を積み上げていくのか。
今回のリニューアルでは、そこまで含めてクライアントと相談していこうと思っています。

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